今朝の日本経済新聞の社説は現政権の状況を的確に評した内容であり是非皆さんもご一読を。毎度自分も述べているとおり、今の日本(政治)に必要なのはグローバルな視点での日本の将来の経済成長戦略。一見美味しそうに見える社会主義的な全体政策ばかりを並べ立てて、莫大な赤字国債を発行するような政治ではない。郵政事業の件についても、具体的な修正案とその効用、さらには国民負担増の可能性の提示もないままに、亀井氏の小泉元首相への怨念と自己満足にしか映らない人事(=元官僚!)や方針を決定してしまう。こうした政治の現状は海外にはどう映るか?少なくともこれまで以上に日本という国を縮小傾向、萎縮傾向と見て、日本の株式、債権等は低位傾向が続き、内需拡大もせず貯蓄性向が更に高まり、景気浮揚は難しいのではないか。それでは困るんですけど…!
------------------------------------------------------
社説1 これは郵政改革の撤回ではないか(10/21)
政府は郵政民営化を大幅に見直す「郵政改革の基本方針」を閣議決定した。これを受ける形で日本郵政の西川善文社長が任期途中での辞任を表明した。郵政事業の民営化は資金の流れを官から民へと転換させ、経済を活性化する狙いだった。一部地域での住民サービスの低下など問題があるとしても、民営化の青写真を大きく変えれば、日本経済が背負うコストは甚大なものになる。
基本方針では、日本郵政の傘下に4分社がぶらさがる体制を再編し、郵便や郵便貯金、簡易保険を全国の郵便局で一体的に提供する。郵貯と簡保には銀行法、保険業法とは異なる規制を導入する。郵便局網を地域格差是正の拠点とし行政にも活用する。政府はこれを踏まえ、日本郵政グループの株式売却を凍結する法案を26日召集の国会に提出する。
多くの疑問が残る。全国規模で丁寧なサービスを展開すれば事業コストが膨らむ。そのコストはだれに負担させるのか。ゆうちょ銀行とかんぽ生命がそれぞれ民営会社として独立して経営するのをあきらめさせると読めるが、せっかく効率を上げ始めたのを後戻りさせないか。
ゆうちょ銀、かんぽ生命の株式は来年にも市場で売却し始める予定だったが、それを長く凍結すれば政府の信用をバックに民間金融機関の経営を圧迫することも予想される。
それにも増して、郵貯、簡保を通じて入る資金を、政府が唯一の株主である日本郵政グループが一元的に管理すれば、何のことはない、以前の郵政に戻る。実際、亀井静香郵政担当相は郵貯などの資金を地域振興に投じる考えも示している。
財政投融資制度の下で巨額の郵貯・簡保資金が特殊法人や国、地方自治体などに流れ非効率に使われた。これを改めて民間部門でより有効に使い、経済活性化に役立てるのが郵政改革の理念だったはずだ。
西川社長の辞任に至る経緯も郵政改革の今後に暗い影を落とす。三井住友銀行の頭取を務めた西川社長は小泉純一郎元首相に請われ日本郵政社長に就いた。宿泊施設「かんぽの宿」の売却が不適切だったという声は前政権下で自民党からも出ていたが、総務省などの調査では明らかな不正は出なかった。民主党や国民新党も新事実を示していない。
民間人に経営を委嘱しておきながら、
いじめに近い仕打ちをし、果ては方針転換を理由に辞任を迫るのでは今後、民間人が進んで来てくれるだろうか。それも含め考えれば政府の「改革見直し」は郵政改革の撤回と同義と見なさざるを得ない。