スズキの新工場の誘致に成功した牧之原市の西原市長の講演を沼津市議会政策研究有志議員懇話会で拝聴。表題の「スズキエリオ1800」と聞いて、すぐに車が浮かぶ人はかなりのマニアと言えると思いますが、西原市長が市長に就任して、公約のひとつだった3台あった「黒塗りの車の廃止」の後、購入したのが、当時エンジン工場が牧之原市にあったスズキ自動車の最上級車「エリオ1800」。この車に乗って、スズキのアセンブリー工場の誘致を持ちかけに鈴木会長を訪問したところ、会長が涙を流して感動し、「あんたのところに決めるよ」と言ったというエピソードがあったそうです。まさに、営業の基本。行政のトップとしても、営業マンマインドが無ければ、相手の心を掴むことは出来ないでしょう。もちろん、このことだけでなく、工場誘致に有利な要素も4点備えていました。1点目は、広大な候補用地があったこと。これは、スズキのエンジン工場の敷地内に190haもの遊休地があったのです。2点目は、1500億円をかけて御前崎港の改修を進めて車輸出用に適する港に再整備していたこと。3点目は、スズキの工場から御前崎港にかけて、大型トレーラーなどの輸送が可能な高規格道路を15年の歳月と700億円の費用で5kmに渡り完成させていたこと。そして、4点目が、大量の工業用水が必要だったため、農業用水を官庁との厳しい折衝の末に切り替えて準備したこと。牧之原市の長年に渡るインフラ整備の成果が、企業誘致に向けた大きな財産となっていたのです。スズキのアセンブリー工場進出(2008年秋稼働)により、関連ベンダー企業の工場移転も今後始まるとのこと、ものすごい経済波及効果です。すでに、工場従業員の雇用は市内のみでは賄えず、2/3は市外からの雇用になるそうです。更に、2009年には市内に富士山静岡空港も開港と良いことずくめ。沼津市も、企業誘致の基本となる市内のインフラ整備を促進させることが大きな課題です。